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2008.10.17

抜け出せない、小さな部屋のトラウマ

馬場正尊
 

僕にひきこもり癖がある根本的な原因は、高校時代の生活にある。
結婚して、周囲とのコミュニケーションがうまくいかなくてひきこもり傾向に陥ったことも一因だが、それ以前から、小さな部屋に小さく収まることに心地よさを覚える僕の傾向は固まっていたような気がする。
そういえば、子供の頃、押し入れのような狭い空間の中にたたずむのが好きだった。

その性格は「房総の馬場家」のプランにも大きな影を落としている。

高校時代、僕は四畳半一間に住んでいた。
こんな部屋だ。

四畳半一間。そのなかに押し入れまで出っぱっているので、事実上四畳弱。
すべてのモノが手に届く範囲のなかにある部屋だった。
小さな机さえ、ここでは大きく見える。
この空間で僕は高校時代を過ごしたため、僕の部屋のスケール感覚はこのサイズで固定され、逃れることができなくなってしまったのだ。
実際、コックピットのような空間のなかにすっぽり収まってしまうと、どうも落ち着く。

大学時代も六畳のワンルームに住んでいたので、そのスケール感覚は変わらないどころか、さらに大学3年間で強固なものなってしまった。

そして大学4年になって、いきなりその領域に他人が踏み込んできたのだ(結婚相手のことだが)。
頭ではわかっていても、僕の心と体はそれに抵抗し、いつのまにか自分の部屋のなかにひきこもっていた。学生結婚で周囲からの風当たりも強かったし、稼げない自分に対する妻の視線も冷たい(ような気がしていた)。

家族の距離感はどんどん大きくなって行く。

それから18年経って設計されている「房総の馬場家」のプランを見てみると・・・

僕の部屋は家のど真ん中で、相変わらず引きこもったままである。
しかも窓さえない。
ちなみに窓のない部屋は、建築基準法上の居室とは認められず、
申請上、僕の部屋は「納戸」と表記されている。
でも放っといてくれ。僕は小さな頃から、押し入れの中が落ち着くのだ。
房総の海辺に住んでさえ、小さな空間に閉じこもろうとしている。

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このブログについて

東京R不動産のディレクターでもある馬場正尊が、ふとしたきっかけから房総に土地を買い、家を建て、生活を始めるまでのストーリー。資金調達から家の設計、周辺の環境や人々との交流、サーフィンの上達? まで。彼の人生は些細な気づきから、大きくそれていくことになる。馬場家の東京都心と房総海辺の二拠点生活はこうして始まった。
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