東金九十九里有料道路を右に曲がって、
左手に九十九里浜のゆるやかにカーブする砂浜を見ていると、
白里のインターチェンジ付近に、ものすごく気持ちのいい遠浅の海岸が姿を現す。
この日は天気がよくて、いつもは家までの道を急ぐので素通りする場所も、
あまりに抜けのいい空の青さと、穏やかな気温もあいまって、
有料道路を降りてみることにした。
夏はきっと、海水浴客でにぎわうのだろう。
でも冬の海は誰もいなくて、ただ広々とした砂浜だけが広がっている。
ポツンと建っている監視塔が妙な色気を持った建築に見える。
ただ海を見るだけのためにつくられた、最小限の空間。独特の寂寥感。
こんな機能性の薄い、なんでもない建築もときにはデザインしてみたい。
灯台なんかが似ている。
天気はよかったが、冷たい風が吹いていた。
樹も寒そうだ。
ただ、どこまでも続く海岸を縦横無尽に走り回っていた。