いつものように海に入って、駐車場で着替えをしているとき、
とても唐突に、そして、さりげなく、
カブに乗ったおばちゃんが話しかけてきた。
よく日に焼けた顔の優しい感じのおばちゃんだ。
「トマトいらんかね?」
正直、最初は意味がわからなかった。
何言ってんだろう?
「200円」。
おもむろに発したこの言葉で、おばちゃんは売りにきてるんだと、状況を理解した。
「さっきウチの畑でとったばっかやから、美味いよ!」
荷台の中をみると、確かに自然な感じの美味しそうなトマトが積まれている。
東京のスーパーで見かける、人工的な赤みのトマトとは明らかに何かちがう。
トマトの魅力におばちゃんの笑顔にも後押しされ、ついつい買っちゃいました。
しかし、よくよく考えると、あのおばちゃんは、何でこの場所にやってきたのだろうか?
ということが疑問に思えてきた。
普通の駐車場なんで人が集まるような場所でもないし。
近くに何があるわけでもない。
単なる帰り道の気まぐれで僕らを見つけて声をかけただけなのか?
でも、袋に「200」って書いてあるから、
売る準備はきっちりとしているので、
それも違うだろう。
理由は謎だけど、取れたてのトマトは、そのままサラダっぽくして食べた。
シンプルに美味しかった。