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2007.11.17

一松のパン屋、naya

馬場正尊
 

九十九里有料道路(通称:波乗り道路)と平行に走る九十九里ビーチライン(一般道)の、何でもない風景のなかに、忽然とこの店はある。ヨーロッパが切り取られて落ちてきたような、そんな一軒家。ワイルドな房総の周りの風景とのギャップがシュールでさえある。近寄ってみるとパン屋だ。 庭にはさまざま植物が植えられている。ゆったりした空気が流れてるのが、通りまで伝わってくるようだ。

中に入ると、高窓から明るい陽が差し込み、それが手塗りの漆喰壁に反射して優しい表情をつくっている。パンの焼ける香ばしい匂いとあいまって、心地よさでいっぱい。大きな空間にシンプルにパンだけが並べられている風景は、なんだかとても贅沢に見えた。

天然酵母を使ったパンは、もっちりとした質感があって、妙においしい。まさか房総の海辺で、こんなにうまいぱんが食べれるとは思ってもみなかった。 どう考えても不便な場所にあるのに客足が絶えない。地元ではすでに評判の店になっているのだろう。一見、店の雰囲気に不釣り合いの、いかにも地元風情のおばさんたちもいる。それがまた気持ちを和ませてくれる。

ここでパンを焼いている二人に尋ねてみた。
「なぜ、この場所に店を持とうと思ったのですか?」
すると、こんな答えが返ってきた。簡単に要約すると・・・。

もとは東京でデザイナーとアートディレクターをしていた。でもある日、パン屋をやりたくなって場所を探した。それで見つかったのがこの土地。とにかく安かった。建物の骨格の部分はプロの大工につくってもらったが。床、壁、天井、照明・・・ほとんどを自分たちで、週末に東京から通いながら少しづつ、つくっていった。完成までには1年くらいはかかったかな。

話を聞いた後も謎だらけ。そもそも、なぜ房総でなければならなかったのか? なぜパン屋でなければならなかったのか? でも、そんな疑問を抱くこと自体、野暮というもの。
家の近くにおいしいパン屋、それはとにかく幸せなことだ。

※nayaは店舗名が「人舟(イセン)」に変わりました。
https://madoisen.com

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このブログについて

東京R不動産のディレクターでもある馬場正尊が、ふとしたきっかけから房総に土地を買い、家を建て、生活を始めるまでのストーリー。資金調達から家の設計、周辺の環境や人々との交流、サーフィンの上達? まで。彼の人生は些細な気づきから、大きくそれていくことになる。馬場家の東京都心と房総海辺の二拠点生活はこうして始まった。
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