例の土地を眺めた後、最寄りの一宮海岸に立ち寄ってみた。
途中でサーフボードをレンタルして。
海岸への道は防風林の松の間を抜ける。
僕はこの先に何かが待っているような風景が大好きだ。
理由もなくワクワクする。
一宮のビーチ。
奇麗な波が立っている。
高くもなく、かといって穏やか過ぎるわけでもない。素人にはちょうどいい加減のように思えた。
この後、初めて房総の海にサーフボードを持って入るのだが、それは決してサーフィンとは呼べない。
ただ板と一緒に波に揉まれていただけだった。運動神経と体力には自信があったのに・・・
正直、波になど一生乗れる気がしなかった。
この後の苦難のサーフィンライフが予感される。
でも、ただ波間にプカプカと漂いながら、時々空を眺めながら、沖からやってくる緩やかな山のような波を待っている時間は、とにかく気持ちがいい。
この波が日常の一部になればいいのに、確かに僕の身体のなかに刻印された日だった。