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2008.5.13

銀行でプレゼンテーション

馬場正尊
 

それが、あまり意味が無いことは、うすうすわかっていた。
僕には保証人も担保もなく、あるのは前向きな姿勢とアイディアだけ。
んー、上滑りして自分で言うのも恥ずかしい。
がしかし、職業柄、とりあえずやってみた、それに意味があろうと無かろうと。
その行為とはプレゼンテーションである。

僕は企画書を持参し、住宅ローンの窓口に対してプレゼンテーションを敢行してみた。
相手は日本における超大手のM銀行(でも、一窓口でしかないけど・・・)。
職業柄、いろんな会社の役員とかにプレゼンしてきたが、こんなに自信のない無鉄砲感が漂うプレゼンは初めてだった。
それでも僕は熱く語った。
房総エリアの可能性、このプロジェクトが発端になり新たな動きが芽生えるであろうこと、そして僕の収入も少しは上がるであろうこと(笑)。
そして、この敷地に建てた建築の模型。

窓口の担当者は、いちおうまじめに聞いてくれた。
一通りのプレゼンが終わった後、その担当者は奥に5分間ほど引っ込んで戻ってきた。
そもそも東京の多摩支店の銀行窓口に、「千葉県長生群一宮町」の価値を見極めろというのが無理な設定である(でも、このときはそんな住宅ローンの常識を僕は知るよしもない)。

ひとつわかったことは、
最近の銀行は、google検索を名前でしているのではないか? ということ。
僕は聞き逃さなかった。窓口の人がしばしの間、奥に引っ込んで戻ってきた後、こう声を掛けられたのだ。
「本とか書かれてますね」
自分からは申告していない。だとすると、google名前検索で調べたとしか思えない。
ブログなどでうかつなことは書けない、ということを目の当たりにした。
例えばブログで問題発言をしてたとするなら、それは相手に筒抜けなのだ。
就職活動において、企業の人事担当が採用予定者のブログを見て、その人物の隠れた人間性を確かめている、という話は聞いたことがあるが、それは住宅ローンを借りる僕にも影響があるのだ(かもしれない、ただし、それが借りれる額や審査に影響があるのかはわからない)。

僕の場合、ちょびっと好印象。
のはずだった。しかし・・・
その後、僕が現時点でこの銀行から借りれる住宅ローンの金額を聞いて、愕然とする。
やっぱ少ない・・・・。嫁には聞いていたのだが、やはりこれだけ熱いプレゼンをしても数字は変わらなかった。諸行無常である。
そりゃ具体的な数字は書けないけど、都心では小さなマンションさえ難しそうな金額だ。これって、僕の前職の博報堂時代の新人のときに借りれる金額より低いんだけど・・・。しかし、社会とはそんなもんなのだ。思い知った。

その数字のなかでなんとかするのも仕事のうち。
いや、こういった庶民的な条件の下で状況を楽しむことこそ意味があるのではないのか!
ここはひとつ、無理をしてでも前向きにそう思うことにしたのだった。

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このブログについて

東京R不動産のディレクターでもある馬場正尊が、ふとしたきっかけから房総に土地を買い、家を建て、生活を始めるまでのストーリー。資金調達から家の設計、周辺の環境や人々との交流、サーフィンの上達? まで。彼の人生は些細な気づきから、大きくそれていくことになる。馬場家の東京都心と房総海辺の二拠点生活はこうして始まった。
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