『未来の住宅/カーボンニュートラルハウスの教科書』という本を書いた。僕が去年からを教えに通っている、東北芸術工科大学の教授陣5人の共著で、現在の技術や社会状況、コストなどを考慮した上で、二酸化炭素排出を限りなくゼロに抑えた家のつくり方を探求した本。
メーカー各社の広告ではいろいろ表現されているが、本当にエコな家は、どんな姿をしているのか? それを公平な目で見直したい、そんな思いでつくった。
アマゾンからでもご購入いただけます。
房総でも今、いくつかの家を設計しているが、施主のみなさんの環境に対する意識は高い。時代の変化を感じないではいられない。
この本をつくっていておもしろかったのが、理想像を追いかけた結果、それはシンプルな木造住宅であることがわかってきたこと。
特別な技術を駆使しているわけではない。
ひとつひとつの部材、部分にちゃんと気を遣ってデザインしていけば、それは案外、無理なくできそうなのだ。今までエコハウスという響きに、僕は正直、少なからず胡散臭さを感じていた。うまく言えないけど、デザイナーがそれを言い出したら、なんか言い訳がましく見えてしまうような躊躇があった。
しかし、丁寧にエコとデザインの関係を解きほぐすと、それは意外に楽しく、そして次の時代のデザインが逆に見えてくることが、少しずつわかってきた。
そこに行き着くプロセスをたどったのがこの本だ。
専門家だけではなく普通の読者にこそ伝えたいと思い、教科書のようなわかりやすい構成にしたつもり。
民主党政権が、2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比25%(05年比30%)削減する具体的な数値目標を掲げた。欧州から見れば当然の数字だが、日本ではインパクトが強い。特に建設分野は他の産業に比べても、大きく技術も認識も遅れている。しかし状況を冷静に受け止めるとするならば、この先の未来、建築はカーボンニュートラルにならざるを得ないし、それは必ずデザインにも大きな影響を与えることになる。だとするならば、いち早くそのモデルタイプを提示するのも建築家の仕事。
気をつけたのが、ゴテゴテしたオーバーなエコハウスではなく、洗練されたデザインでなければらない、ということ。
環境を脅迫的に家に導入するのではなく、状況を肯定的に捉え、木造でカーボンニュートラルだからこそ可能な、快適で美しい住居をつくること。
今回、この本の出版を機に、表参道の青山ブックセンターで、筆者によるトークショーを行うことになった。より詳しく内容を知りたい方はぜひ。
11月にも新宿のOZONEでやるので、そのときはまた告知します。
『未来の住宅』刊行記念トークショー
竹内昌義(みかんぐみ)×三浦秀一 (東北芸術工科大学)
「これからの住宅、こうなります!」
■2009年9月26日(土)18:30~20:30(開場18:00~)
■会場:青山ブックセンター本店内・カルチャーサロン青山
■定員:120名様
■入場料: 500円(税込)
■参加方法:
[1] ABCオンラインストアにてWEBチケット販売
[2] 本店店頭にてチケット引換券を販売
(入場チケットは、イベント当日受付にて。当日の入場は、先着順・自由席)
※電話予約なし